『範士が語る』田中 早苗 範士 第1部
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『範士が語る』田中 早苗 範士 第1部
八段合格への道標
「神業を出すが如く審査員の心を動かせるかが合格の要だ!」
最近の試合を見ていると、「はじめ」の号令とともに防御をしながら相手に接近し、鍔迫り合いになる場面をよく目にする。試合の組み立てを選手が考えた結果であると思うが、違和感があった。その違和感の答えは田中範士の話の中にあった。
田中範士は現役の時、初太刀を取られても2本取り返せばいいという考えだった。しかし、範士九段森島健男先生から「剣道は刀で一発斬られたら終わりなんだよ」という言葉を受けた。それから、軽はずみに打っていくのではなく、攻め方を工夫して慎重に打っていく剣道に変わったという。こういった点が審査にもつながっていると語り、審査においても初太刀を打たれると、もうダメだという。
剣道を刀での切り合いととらえた場合、防御をしていても簡単に近間に入ることはできない。初太刀までの過程に緊張感をもって立ち会うことで、高段位の品位、風格というものが生まれるといえる。
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